牛乳ができる前の話 牧場の一日

北海道の酪農牧場を遠くから眺めた水彩イラスト。緑の牧草地に赤い屋根の牛舎とサイロ、雪を残した山並みを背景にホルスタイン牛がのんびり草を食べている 酪農編

みなさんこんにちは!

今日は、一般的な酪農牧場でどんな仕事が行われているのか、一日の流れにそってご紹介してみようと思います。

「牛乳ができる前の、牧場の時間ってどんな感じなんだろう?」と気になっている方に、少しでも雰囲気が伝わればうれしいです。

早朝 搾乳から始まる一日

まだ外が薄暗い早朝、牛舎の中だけがぽっと明るく灯ります。
静かなようで、牛たちの「モ〜」という声や、エサを噛む音がじわじわ聞こえてきて、「今日も一日が始まるな」と感じる時間です。

一日のスタートは、牛たちの搾乳から。
乳牛たちを搾乳用のスペースに誘導して、まずはおっぱいの汚れをきれいに拭き取ります。
それから「ミルカー」と呼ばれる搾乳機をそっとつけると、機械がやさしくリズミカルにミルクを吸い上げていきます。

搾ったミルクはホースを通ってタンクに集められ、すぐに冷やされます。
まだご飯を食べたそうにしながらも、牛たちが順番に列に並んでいる姿を見ると、「今日も元気でよかった」と、少しほっとします。

午前中 エサやりと牛舎の仕事

搾乳がひと段落したら、次はエサやりです。
発酵させた草(サイレージ)や乾草、粒の飼料など、牧場によって少しずつ違う“牛たちのごはん”を、エサ用の通路に配っていきます。
牛たちは、配り終わるのを待ちきれないように、首を伸ばしてにおいを確かめていたりします。

エサやりと同時に、牛舎の中もきれいに整えます。
通路のうんちを片付けて、寝床の汚れた部分をどかし、新しいおが粉や敷きわらを足していく作業です。
地味なようで、とても大事な仕事。ここがきちんとしているかどうかで、牛がすべりにくいか、病気になりにくいかが変わってくるからです。

子牛たちのお世話の時間

午前中のどこかで、子牛のお世話の時間もやってきます。
生まれてまだ日の浅い子牛たちは、人間でいうと保育園の子どもたちのような存在。
ミルクをバケツや哺乳瓶で飲ませてあげたり、子牛用の飼料や水を用意したりします。

性格もそれぞれで、ぐいぐい近寄ってくる子もいれば、少し離れたところからじっと見てくる子もいます。
うんちの状態や動き方を見ながら、「今日はちょっと元気ないかな?」と、毎日小さな変化をチェックしていきます。

日中 見えない仕事がたくさん

お昼をはさんで、日中は「外からは見えにくい仕事」が多い時間帯です。
トラクターや搾乳機などの機械を点検したり、壊れそうなところがないかを確かめたり。
エサの在庫を確認して、「そろそろ注文しなきゃ」と手帳にメモすることもあります。

それから、牛たちのデータをまとめる事務作業も大事な仕事です。
どの牛がどれくらいミルクを出しているか、いつ子牛を産んだか、体調を崩していないか。
ノートやパソコンに記録しておくことで、あとから「この牛、最近エサの食べ方が変わったな」など、小さな変化にも気づきやすくなります。

夕方 もう一度、搾乳とエサやり

夕方になると、再び搾乳の時間です。
朝と同じように牛たちを搾乳スペースに連れて行き、おっぱいをきれいにしてからミルカーをつけます。
一頭一頭の様子を見ながら、「足をかばっていないかな」「おっぱいが熱くなっていないかな」と、さりげなく健康チェックもしていきます。

搾乳が終わった牛たちには、またエサを用意します。
一日働いてお腹もすいているのか、顔をエサにうずめるようにして夢中で食べる姿は、見ているこちらも少しうれしくなる光景です。

一日の終わりに思うこと

牛舎の中をひと通り見回し、機械を洗って片付け、明日のエサの準備をしていくと、だんだん外は暗くなっていきます。
牛たちが落ち着いて反芻(口をもぐもぐ動かして、エサを噛み直している)している姿を見て、「今日もなんとか無事に終わったな」と肩の力が抜けていきます。

酪農の一日は、休み時間が長い仕事ではありません。
けれど、朝の静けさや、季節ごとに変わる空の色、牛たちの表情にふと救われる瞬間がたくさんあります。

スーパーで何気なく手に取る牛乳の向こう側には、こんなふうに、毎日同じようでいて少しずつ違う「牧場の一日」が流れています。

ぜひ機会があれば牧場見学や酪農体験などもしてみてくださいね!

ではまた!

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